NestJSとは

概要

NestJS は、Node.js のためのプログレッシブな Web アプリケーションフレームワークです。NestJS は、Angular のアーキテクチャーに触発されており、多くの Angular の概念を採用しています。これにより、Angular で使用されるような設計原則、パターン、およびベストプラクティスを Node.js アプリケーションに適用できるようになりました。

NestJS は、コードの再利用性を向上させることができるモジュール化されたアーキテクチャ、データベースアクセスのための ORM(Object-Relational Mapping)、HTTP リクエストの処理のためのルーティング、テスト可能なコードの作成を支援する依存性注入などの機能を提供します。

NestJS は、TypeScript と JavaScript の両方をサポートしています。また、Express や fastify などの人気のあるサーバーサイドフレームワークの上に構築されており、既存の Node.js アプリケーションに統合することができます。NestJS は、スケーラビリティとパフォーマンスにも焦点を当てており、非同期処理やマイクロサービスなどの機能も提供しています。

NestJSの主な機能

  1. モジュールベースのアーキテクチャ
    NestJS は、アプリケーションをモジュール単位で構成することができます。これにより、機能単位でコードを分割し、再利用性や保守性を高めることができます。
  2. エクスプレス、fastify などの多くの Web フレームワークのサポート
    NestJS は、Web アプリケーションの開発に最適なフレームワークである Express や fastify をはじめとする多くの Web フレームワークをサポートしています。
  3. 依存性注入(DI)のサポート
    NestJS は、依存性注入を用いてアプリケーションのコンポーネント間の依存関係を管理することができます。これにより、コンポーネント間の疎結合を実現し、テストや保守性を向上することができます。
  4. ガード、パイプ、インターセプターなどの豊富なフィルター機能
    NestJS は、アプリケーションにおけるリクエストやレスポンスに対する様々なフィルタリング機能を提供しています。これにより、セキュリティやデータの整合性の確保などを容易に実現することができます。
  5. WebSocket や gRPC のサポート
    NestJS は、WebSocket や gRPC といったリアルタイム通信プロトコルをサポートしています。これにより、リアルタイム通信アプリケーションの構築が容易になります。

NestJSの主な利点やメリット

  1. CLI による迅速で効率的な開発
    Nest CLI を使えば、簡単に新しいアプリケーションやモジュールを作成したり、生成したりすることができます。また、各種設定ファイルや依存関係の管理も CLI で行えるため、開発者はコードに集中できます。
  2. TypeScript と依存性注入による保守性の高いアプリケーション開発
    TypeScript によって静的型付けを実現し、開発者がコードをより信頼性の高いものにすることができます。また、依存性注入によって、テストが容易になるとともに、保守性の高いアプリケーションを開発することができます。
  3. 大規模なコミュニティとサポートシステム
    NestJS には大規模なコミュニティがあり、多数のドキュメント、ライブラリ、プラグインが提供されています。さらに、StackOverflow や GitHub などのサポートシステムも豊富で、開発者は問題を解決するために必要な情報を簡単に見つけることができます。
  4. Node.js による MVC 開発のサポート
    NestJS は、Node.js による MVC 開発をサポートしています。このため、Web アプリケーションの開発が簡単に行え、開発者はコントローラー、モデル、ビューの役割に従ってコードを整理できます。
  5. モジュール性とスケーラビリティ
    NestJS は、機能を再利用可能な単位に分割するためのモジュールシステムを提供しています。このモジュールシステムにより、アプリケーションを簡単に拡張したり、スケールしたりすることができます。
  6. 構造化されたコード
    NestJS は、アプリケーションの構造を明確にするためのコンポーネントベースのアーキテクチャを採用しています。このアーキテクチャにより、アプリケーションのコードがより簡潔で読みやすくなります。
  7. テストの容易性
    NestJS は、依存性注入に基づくアプリケーションの構造を採用しているため、単体テストが簡単に行えます。依存性注入により、コンポーネントを分離して単体でテストすることができ、アプリケーション全体をテストすることも容易になります。
  8. 分かりやすいドキュメント
    NestJS には分かりやすいドキュメントが提供されており、開発者は簡単に始めることができます。ドキュメントには、アプリケーションの作成方法、アーキテクチャの説明、プラグインの使用方法などが記載されています。
  9. プラットフォームの選択肢
    NestJS は、複数のプラットフォーム(Node.js、Browsers、React Native)で動作することができます。これにより、同じコードを複数のプラットフォームで共有することができます。
  10. 豊富な機能と拡張性
    NestJS には、HTTP リクエストの処理、WebSocket のサポート、CLI ツール、ORM のサポートなど、多数の機能が組み込まれています。また、NestJS は、コミュニティによる拡張性が高いため、サードパーティのパッケージやモジュールを利用することで、アプリケーションをさらに拡張することができます。

他の Node.js フレームワークと比較して、Angular、React、Vue などのフロントエンドフレームワークの影響を受けているため、依存性注入による柔軟性の高いシステム開発とテストの容易さを提供しています。

以上の理由から、NestJS は大規模なバックエンドシステムの開発に最適です。

NestJSのアーキテクチャ

NestJS は、Node.js のためのモジュラーなフレームワークであり、アプリケーションの構築を簡素化するために設計されています。NestJS のアーキテクチャは、以下のコンポーネントから構成されています。

  1. モジュール
    モジュールは、アプリケーション内で機能を論理的に再利用可能な単位に分割するための手段です。モジュールは、関連するプロバイダー、コントローラー、ルーティングロジック、および関連するコンポーネントをまとめることができます。モジュールには、NestJS アプリケーションを構成するためのインポート、エクスポート、およびプロバイダーの提供を含む、いくつかのメタデータがあります。
  2. プロバイダー
    プロバイダーは、アプリケーションで使用される依存関係を提供するための手段です。プロバイダーは、DI(依存性注入)の原則を使用して、モジュール内で他のプロバイダーまたはコントローラーに注入されます。プロバイダーは、サービス、リポジトリ、ファクトリ、ヘルパー、インターセプターなどの形で使用することができます。
  3. コントローラー
    コントローラーは、HTTP リクエストに対して応答を返すための手段です。コントローラーは、アプリケーションの特定のエンドポイントに対応するように設計されています。各コントローラーは、関連する HTTP メソッド(GET、POST、PUT など)と URL エンドポイントの一覧を持ちます。リクエストの処理中に、コントローラーは、必要に応じてプロバイダーを使用して、ビジネスロジックを実行することができます。
  4. インターセプター
    インターセプターは、リクエストパイプラインの中で実行される関数です。これらは、リクエストが処理される前に、または応答が送信される前に、リクエストや応答を変更するために使用することができます。例えば、認証、キャッシング、ロギングなどのために使用することができます。
  5. ミドルウェア
    ミドルウェアは、リクエストを変更、検証、または承認するために使用することができます。例えば、リクエストのログを出力したり、認証を行うためにミドルウェアを使用することができます。ミドルウェアは、@nestjs/common パッケージで提供されています。
  6. ガード
    ガードは、リクエストの承認を行うことができます。ガードは、リクエストを処理する前に、リクエストを検証するために使用することができます。例えば、認証や認可のためにガードを使用することができます。ガードは、@nestjs/common パッケージで提供されています。
  7. パイプ
    パイプは、コントローラーのメソッドの引数や戻り値、またはフィルターの引数に適用することができます。パイプは、例えば、リクエストの入力データの形式を変更したり、バリデーションを行ったりするために使用することができます。パイプは、@nestjs/common パッケージで提供されています。

NestJS のアーキテクチャは、モジュール、プロバイダー、コントローラー、インターセプター、ミドルウェア、ガード、パイプといった様々なコンポーネントから構成され、それぞれのコンポーネントが役割を担ってアプリケーションの開発を効率化しています。

NestJSを利用している企業

以下サイトが Nest.js を利用している Web サイトになります。

  • https://www.sanofi.com/
  • https://shop.adidas.jp/
  • https://www.autodesk.com/
  • https://particuliers.societegenerale.fr/
  • https://www.roche.com/
  • https://www.rewe-digital.com/
  • https://www.capgemini.com/
  • https://www.decathlon.com/

ロシュやアディダスなどの有名企業が使用しており、nestJS の完成度の高さがうかがえます。

最後に

NestJS は、最初から最後までルールに基づく開発を強制してくれるため、堅牢で安全なバックエンドアプリケーションの開発を容易にしてくれます。

また最新のソリューションとテクノロジーを使用しているため、NestJS 自体が陳腐化することはありません。
そのため保守が容易なアプリケーション開発を何も考えず行えます。

NestJS が優れたフレームワークだと感じたら、すぐに開発を始められます。
npm インストールをして、Nest CLI を実行するだけです。

npm i -g @nestjs/cli
nest new project-name

より詳しい環境構築の方法について知りたい場合は、『未経験からの NestJS 入門|環境構築』を参照してください。

以上です。